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外野フェンスにペンキを塗る斎藤佑樹さん。このフェンスを越える本塁打を打って欲しいと話していた=2025年5月5日、北海道長沼町、加藤丈朗撮影
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 夏の甲子園の優勝投手で、元日本ハムファイターズの斎藤佑樹さん(36)が5日、北海道長沼町に建設中の少年少女専用球場をメディアに公開した。「こどもの日に間に合わせるべく、まずは野球ができる環境を作れた」。斎藤さんは今後も同町に通い、夢の球場作りを続ける覚悟だ。

 プレオープンの式典には地元の少年野球チームの子供たちや住民ら200人が参加。冒頭、斎藤さんは球場名を発表した。その名も「はらっぱスタジアム」。

 「伸び伸びと野球をやって欲しい。勝ち負け関係なく、フェンスを越える打球を放つことを考えてプレーして欲しい。そんな思いで名付けた」と語りかけた。

 斎藤さんは引退した2021年頃から球場作りの構想を温めてきた。全国50カ所以上の候補地を見てきた末に選んだのが長沼町。「土地が平らで、エスコンも見える。ここには運命的なものを感じた」。敷地は約20年前まで町営の野球場だった2・6ヘクタールの町有地だ。昨年8月、ひざ丈まで生い茂った雑草を刈り取ることからスタート。住民の協力を得ながら作業を進め、雪解けと同時に外野フェンスやバックネットを設営した。

 駆けつけた日本ハム前監督の栗山英樹さん(64)は、自身も少年野球場「栗の樹ファーム」(栗山町)を作った経験を持つ。

 「野球をやっていた我々が全員、どこかで球場を作ったら、子供たちに夢を与えられる。佑樹が行動してくれたことに感動している」と後輩の行動力をたたえた。

 「はらっぱスタジアム」の両翼は70メートルで、中堅は85メートル。軟式野球の学童規格に合わせて作られ、全国レベルの大会の開催も可能だ。

 球場前にはボールをかたどったモニュメントが建てられ、グラウンドには木製のスコアボードやベンチも設けられた。

 ただ、斎藤さんが最もこだわったのは外野フェンスだ。高校、大学時代の米国遠征で、現地の少年野球場には外野フェンスが整備されていた。

 「日本の学校の校庭ではすべてランニングホームランになる。フェンスを越える本塁打を打つ体験をして欲しい。そんな思いで作りました」。この日は高さ1メートルの木製フェンスに子供たちと一緒にペンキを塗った。

 球場作りはこの先も続く。今年中に内外野に天然芝を植える予定だ。

 「野球に興味がなかった子たちが来ても楽しんでもらえるような施設を考えている。宿泊できる施設かも知れないし、花を植えたり、植樹をしたりすることかも知れない。今はいろいろなことを考えている」と斎藤さん。

 いずれは自身が主催する大会を創設し、少年少女の野球の聖地にすることを夢見る。

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